初恋【短】
最後。
赤く生々しい、血。
でもそんなのは、気にしてる場合じゃなかった。
「・・・ッ晃平?!晃平・・・?」
地面やあたしの体に飛び散っているそれは、誰からでもない、晃平の血液。
ぐったりした晃平の体の上半身を、足の上に乗せ、あたしは必死で晃平の名を呼んでいた。
車が突っ込んできた瞬間、晃平はあたしを庇って、直接車と接触した。
かろうじて意識があるのが、奇跡だった。
「葵・・・?」
「晃平!晃平、聞こえる?あたしの声・・・」
「うん。・・・それより葵は怪我、しなかった?」
「しっしてないよ、全然・・・!」
晃平に比べれば。
それを聞いて、晃平は微笑んだ。
「よかった」って、小さく言って。
「泣くなよ、葵。」
「泣いてないよ・・・っ」
「泣いてんじゃん」
晃平は、そう言って笑った。
そして、血だらけの手であたしの頬を撫でる。
「・・・ごめんな、葵。」
「晃平っ!晃平―っ!!」