鈴が鳴る時―王子+ヌイグルミ=少年―
「鈴音、大丈夫?やっぱり最近おかしいよ?さっきも変だったし…何かあった?」

 詩穂が心配そうな表情で近づいてきた。

「う、ううん!大丈夫だよ!!何でもない!!私の気のせいだから!」

 鈴音は安心させるためにニッコリと笑ったが、詩穂は「そう?」と言いながらも心配そうな表情は消えなかった。

 そして鈴音自身も数秒間は頭がぼ~っとしていて何も考えられなかった。

 自分でもよく分からなかったのだが、知らないうちにあのヌイグルミといたら、昼間や最近頻繁に感じていた例の視線に対する不安が薄れていた。

 安心していたのだ。

(…夢…だったのかな?)

 だけどヌイグルミを持った時の重みが、感触が、まだ手にかすかに残っている。

 夢ではない気がするのだ。では、ヌイグルミはどこに行ったのだろう?

 その時ふと鈴音は疑問を思い出した。

「…あれ?そういえば何で詩穂、私の部屋に来て倒れたの?」

「う~ん。今日は疲れたから、鈴音の部屋に来て、すっごく安心して、眠くなって…それで…」

「あなたは、赤ちゃんか何かかですか?」

「えへへへ」
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