鈴が鳴る時―王子+ヌイグルミ=少年―
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ガタン…ガタン…ガタン…

 規則正しい振動が響く電車の中は、日曜のお昼なのに意外と空いていて空席が目立っていた。

 季節は夏の中旬。学生なら楽しい夏休みの時期。車内はクーラーがこれでもか!というくらいに効いていて、人が少ない今はむしろ寒い。

「映画、面白かったね~!また行こうね!!」

 1人の少女が隣に座るもう1人の少女に嬉々と言った。

「うん、そうだね」

 隣の少女がそんな友人を見て、微笑みながら答える。

「あっ、そうだ詩穂!このまま私の家に来ない?」

 楽しそうな表情のまま、少女が思い出した様に言った。

「えっ?!いいの?」

 詩穂と呼ばれた隣の少女は驚いて聞き返す。顔には満面の笑みが広がっていった。

「うん!!」

「やったぁ!鈴音の家、久しぶりだなぁ~!!」

 詩穂は思わずガッツポーズをしていた。

「あははっ!そうだね~。…てか、映画より喜んでない?」

「えっ?そんな事ないよ?」

 ギクリ、と詩穂はとっさに素っ頓狂な声を上げる。

 「ホントに?」と鈴音にしつこく詰め寄られて、最初は誤魔化そうとしていた詩穂も「うっ…実はそうだったりして~…」と苦笑いしながらつい白状してしまった。

 鈴音はやっぱりという表情をはっきりと出す。

 長年の友人の前では、たとえ詩穂でも嘘がつけない。

 白石鈴音という少女は、長い前髪をピンで留め、後ろ髪は少し高い位置に二つに結わえた、いわゆるツインテールという髪型だ。
服装は水色のキャップを被り、白いキャミソールの上にジージャンをはおり、短パンにシューズを履いて腰にはウエストポーチという動きやすそうな服装。
茶髪に髪の色と同じ茶色の大きな瞳を持つ、普通よりは可愛い、どこにでも居る平凡な17歳。

 いや、平凡というわけでもない。鈴音は普通の人には見えない存在が見える“霊感少女”だった。しかも、かなり強い霊感である。

 この体質のせいで17年間、いろいろと苦労したものだ…
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