鈴が鳴る時―王子+ヌイグルミ=少年―
 バスに乗って、二つ目のバス停で鈴音達は降りた。

 降りたところは、近くにコンビニがある住宅街だった。

 住宅街から少し離れたところにポツンと一軒だけ、橙色と黄色の瓦が交互に敷き詰められた屋根に、肌色の壁の家がある。

 この家が鈴音の家だ。

 家に入ると中には家族の姿は無く、留守だった。

「ただいま~」

「お邪魔します!」

「あっ!詩穂、私の部屋どこだか覚えてる?お菓子準備するから先に行ってて!」

 鈴音が靴を脱ぎながら詩穂に言う。

「手伝おうか?」

「ううん。いいよ」

「わかった」

 にこりと微笑むと詩穂は鼻歌を歌いながら、茶色い階段を上っていった。

 二階には四つ部屋があり、一番奥の部屋が鈴音の部屋だ。

 ドアを開けると鈴音の匂い、ほんのりと桜のような甘い匂いがした。

 鈴音の部屋は正方形で、一番奥の壁には本棚があり、本がぎっしりと詰め込まれている。左側にはクローゼット。

 全体的に白と黄色でまとまっていてシンプルな部屋だ。

 それにちゃんと綺麗に片付いている。

「うわ~!相変わらず綺麗な部屋だな~」

と感心しながら詩穂が一歩部屋に踏み込んだ時だった。

 …その時、鈴音にとって悲惨な目に遭う事が起きた。
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