忘れない

会いたくて

あれからもう一ヶ月くらいの時間が過ぎた。

彼は…陸さんは、私の前から居なくなった…ううん、最初から居なかったみたいに私の隣に座らない。

単なる偶然が重なっただけのあの時間。それが私にとって当たり前になってただけなんだって気づいて、私は気が抜けたように一冊…また一冊と小説を読む事に没頭していく。
「恋」なんてはかないものだし、片想いだったから告白もしてないんだもの。意味を成しているとも感じない。
でも……会いたい……。
いつまでも電車にばかり乗って待つのは馬鹿気てる。
私は陸さんが降りる駅のホームに初めて足を一歩踏み出した。
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