ケータイ恋愛小説家
まるで映画のワンシーンみたいだった。

どんよりと曇った景色の中、二人の姿だけはくっきりと浮かび上がってスポットライトを浴びているようだ。

――お似合い。

なんて言葉がぴったりとはまる二人だった。


ぼんやりとする視界の中、去っていく二人から目が離せない。


そっか……。

なんだか可笑しくて笑いがこみあげてくる。

“ジルスチュアート”のワンピースは、ああやって着こなすんだな……。

蓮君の隣にいた女性。

それは美雨ちゃんだった。

この前美雨ちゃんの携帯に届いたメールを思い出した。

――そっか、今日だったんだ、二人のデート。



美雨ちゃんは、ついこの間あたしが借りたワンピースを着ていた。

とても同じ服だとは思えないぐらい、美雨ちゃんにその服は似合っていた。

無理に背伸びして着ていたあたしとは大違い。


そして傍で寄り添うように歩く蓮君。

美雨ちゃんに向けられた優しそうな表情。

何もかもがピタッとはまって絵になっていた。


ドンッ


「――きゃ」


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