ケータイ恋愛小説家
恋ヲシル
それは小さな子供の頃の記憶……。
美雨ちゃんの腕にはめられたおもちゃのブレスレット。
プラスチック製のチープな物だったけど、色とりどりのビーズに光が反射するとキラキラ輝いて、子供のあたしの目にはまるで宝石のように映った。
美雨ちゃんがそれをとても大事にしていたのは、わかっていたけど。
どうしても欲しくなったあたしは駄々をこねて、くれとせがんだ。
いつまでも泣き止まないあたしの腕に、美雨ちゃんはそっとブレスレットをつけてくれた。
いつもの優しい笑顔を向けてくれた美雨ちゃん。
手にして初めて気づいた。
そのブレスレットは美雨ちゃんだから似合っていたんだ。
あたしの腕には大きすぎるそれは、どう見ても不恰好で……最初に感じた輝きはもう無かった。
それでもあたしは、欲しいものを手に入れた満足感に浸っていた。
だけど次の日、美雨ちゃんの首には小さいながらも本物の宝石のついたネックスレスがつけられていた。
ことの一部始終を見ていたお母さんが美雨ちゃんにあげたものだった。
「美雨は優しい子ね」
お母さんは目を細めて、美雨ちゃんを誇らしげに見つめていた。
欲しくて欲しくてしょうがない物を手に入れたはずなのに……。
後になって自分の愚かさに気づいたけど、この手に残ったのは、あたしには不釣合いなブレスレットと……
そして、
――“優しい姉”と“わがままな妹”
という称号。
その時に思った。
もう二度と、美雨ちゃんのものを欲しがったりしないって。
――そう決めたんだ。
美雨ちゃんの腕にはめられたおもちゃのブレスレット。
プラスチック製のチープな物だったけど、色とりどりのビーズに光が反射するとキラキラ輝いて、子供のあたしの目にはまるで宝石のように映った。
美雨ちゃんがそれをとても大事にしていたのは、わかっていたけど。
どうしても欲しくなったあたしは駄々をこねて、くれとせがんだ。
いつまでも泣き止まないあたしの腕に、美雨ちゃんはそっとブレスレットをつけてくれた。
いつもの優しい笑顔を向けてくれた美雨ちゃん。
手にして初めて気づいた。
そのブレスレットは美雨ちゃんだから似合っていたんだ。
あたしの腕には大きすぎるそれは、どう見ても不恰好で……最初に感じた輝きはもう無かった。
それでもあたしは、欲しいものを手に入れた満足感に浸っていた。
だけど次の日、美雨ちゃんの首には小さいながらも本物の宝石のついたネックスレスがつけられていた。
ことの一部始終を見ていたお母さんが美雨ちゃんにあげたものだった。
「美雨は優しい子ね」
お母さんは目を細めて、美雨ちゃんを誇らしげに見つめていた。
欲しくて欲しくてしょうがない物を手に入れたはずなのに……。
後になって自分の愚かさに気づいたけど、この手に残ったのは、あたしには不釣合いなブレスレットと……
そして、
――“優しい姉”と“わがままな妹”
という称号。
その時に思った。
もう二度と、美雨ちゃんのものを欲しがったりしないって。
――そう決めたんだ。