ケータイ恋愛小説家
確かにあたしにも見覚えがあった。

その男の人は、前に蓮君とカフェでお茶している時に声をかけてきた人だった。

そしてその横にいる女の人は、あの時一緒にいた彼女さんだ。


「へぇ……。随分若い子連れてんなぁって、思ってたんだけど……。マジで高校生だったんだ」


何が可笑しいのか、ニヤニヤ笑いながら制服姿のあたしを上から下までマジマジと眺める。


なっ…なによぉ。

高校生じゃ悪いの?

どうせ、あたしは子供っぽいですよーだ。


あたしはちょっとムクれて、ストンと腰を落とした。

それから大輔君がそれぞれを紹介してくれた。


それによって、蓮君を含む4人は同じ大学のサークル仲間だということがわかった。


「それにしても蓮哉が高校生と付き合うとはねー」


まるでからかうような軽い口調で、目の前の幸樹(コウキ)さんが言った。

幸樹さんは、かなりかっこいい。

彫りの深い端正な顔立ち。

座ってるからわかんないけど、身長もかなりありそうだ。

同い年らしいけど、大輔君や蓮君よりも少し年上に見える。

なんか、隙が無いっていうか……髪型から服装までばっちり決まってて、このままドラマに出てもおかしくないぐらいの容姿だ。




「つっ……付き合ってなんかいません!」


あたしは慌てて、幸樹さんの言葉を否定した。


「単なる幼馴染なんです! あの時はたまたま……じゃなくて、ちょっとわけあって、一緒にいただけで……ほんとにそんなんじゃないんです!」


「わかったわかった。んな、ムキになんなくても……」


幸樹さんはクククと肩を震わせて笑った。

あー、もぉ。

なんかバカにされてるよぉ。



「……それに。蓮君、好きな人いるし」
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