ケータイ恋愛小説家
「え? マジで? それこそ初耳なんだけど」


大輔君が驚いたような声を出す。


「どこの女? 教えろよ?」


「内緒。まだ片思いだから」


「お前が片想い? ガラじゃねーな」


「うん。かなりマジなもんで。今頑張ってんの」


幸樹さんはまたタバコの煙を静かに吐き出して、恥ずかしそうに笑った。


なんか、意外……。

すごくカッコイイし、かなり遊んでるタイプだと思ってた。

幸樹さんみたいな人でも片想いってするんだね。



「大輔君は?」


あたしは隣にいる大輔君に尋ねた。


「え?」


「好きな人……いるの?」


「えっ……うーん」


大輔君は一瞬目を泳がせて曖昧な返事をすると、目の前のグラスを手にとって口につけた。

まるで何かを誤魔化そうとしているかのようだ。


代わりに口を開いたのは幸樹さんだった。




「大輔は忘れらんない女がいるんだよ。な?」


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