ケータイ恋愛小説家
それは突然に
あたし達はその後、一時間ほど他愛のない話をしていたが、大輔君のバイトの時間がせまってきていたので、部屋を出ることにした。
大輔君よりも先に外に出たあたしは、まだ靴を履いている大輔君を待つために、開きっぱなしの玄関扉のすぐ傍で立ち止まった。
その時、突然強い横風が吹いて、重い玄関扉がギギーという音とともにすごい勢いで閉じかけた。
それは、すぐ傍に立っていたあたしに向かってやってくる。
「きゃ……」
ドアにぶつかる――そう思った瞬間
「危ない!」
という声とともに大輔君の手があたしの顔のすぐ横に伸びてきた。
――ドンッ
鈍い音が耳のすぐ横でしたと同時にあたしは自分の体がどこも痛くないことに気づいた。
大輔君が扉からあたしを庇うように抱きしめてくれていたのだ。
「大丈夫? ヒナちゃん」
耳のすぐ傍で大輔君の声がする。
男の人に抱きしめられるなんて初めてで、腕の中にすっぽりと納まってしまう自分の小ささに驚いた。
「あ……うん」
あたしはなんだか恥ずかしくて大輔君から顔をそらせて目線を横に向けた。
そして目の中に飛び込んできた光景に……
言葉を失った。
そこにはまさに今、帰宅したのであろう蓮君の姿があったから。
彼は自分の部屋の前で立ち止まってこちらをジッと見つめていた。
「蓮君……」
大輔君よりも先に外に出たあたしは、まだ靴を履いている大輔君を待つために、開きっぱなしの玄関扉のすぐ傍で立ち止まった。
その時、突然強い横風が吹いて、重い玄関扉がギギーという音とともにすごい勢いで閉じかけた。
それは、すぐ傍に立っていたあたしに向かってやってくる。
「きゃ……」
ドアにぶつかる――そう思った瞬間
「危ない!」
という声とともに大輔君の手があたしの顔のすぐ横に伸びてきた。
――ドンッ
鈍い音が耳のすぐ横でしたと同時にあたしは自分の体がどこも痛くないことに気づいた。
大輔君が扉からあたしを庇うように抱きしめてくれていたのだ。
「大丈夫? ヒナちゃん」
耳のすぐ傍で大輔君の声がする。
男の人に抱きしめられるなんて初めてで、腕の中にすっぽりと納まってしまう自分の小ささに驚いた。
「あ……うん」
あたしはなんだか恥ずかしくて大輔君から顔をそらせて目線を横に向けた。
そして目の中に飛び込んできた光景に……
言葉を失った。
そこにはまさに今、帰宅したのであろう蓮君の姿があったから。
彼は自分の部屋の前で立ち止まってこちらをジッと見つめていた。
「蓮君……」