ケータイ恋愛小説家
「本気で彼氏欲しいなら、出会い系なんてやめなよ。ロクなやついないもん。ヤリ目的ばっかだよ? 日向が処女捨てたいなら話は別だけど?」


綾乃ってば……なんてこと言うんだ。

あたしは今、自分がゆでだこみたいに真っ赤になっているのを感じていた。


処女かぁ……。

たしかに、ここらでスパッと捨てるのもいいかもなぁ……なんて思ってしまう。


なんといっても、小説書く上で絶対役立つよね。

彼氏ができて、デートして、手繋いで、キスして……それ以上のことも色々しちゃったりして……きゃぁ(以下妄想)。

まさに自ら体験して取材もできるし、彼氏もゲットできて一石ニ鳥だよー。


ふふふ……。
 
ニヤニヤと妄想に入り込むわたしの目の前で綾乃が手を振る。


「おーい。日向、聞いてる?」


「え? ハイハイ」


「だからー。出会い系はやめときなって話し」


「あー、うん……ってええ? ダメかなぁ? そんなぁ……。だって出会いがないんだもーん」


せっかくの名案をあっさりと否定され、がっかりしながらウルウルの瞳で綾乃に訴えた。


そんなあたしに綾乃はニヤリと微笑んだ。


「合コン……あるけど……行く?」


「いっ……行く行く―――!」


あたしは綾乃の言葉にまさに尻尾を振って飛びついた。




ようし!

人生初の合コンで生の男を取材してきまっす!
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