ケータイ恋愛小説家
「……で。いきなり今日なわけね」


「うん。ちょうど良かった~。女の子の人数一人足んなくてさ」


綾乃はあたしを振り返ってそう言った。

綾乃にとっても、人数合わせの為にあたしの参加は好都合だったらしい。

でもいきなり今日だなんてー!

心の準備がまだできてないよぉ……。



今あたし達は合コン場所へと向かっている。

学校を出てそのまま直行しているのだ。

メンバーはあたし達以外に、違うクラスの女の子が二人。


「ってゆか、なんで制服なの―――!」


あたしは綾乃の後ろでジタバタと騒ぐ。


「だー! うっさい子だね、アンタは! だぁかぁらぁ……」


綾乃はあたしの耳元で囁いた。


「今日の相手は大学生なの」


「え? そうなの? 聞いてないよー! てか、なんでそれで制服?」


「あっちが『着てきて』って指定してきたんだよ。制服だと女子高生と合コンしてるって気分が盛り上がるんじゃない? 女子大生がいくらケバいメークしても、女子高生の制服には勝てないっていうしね」


へぇ……そうなんだぁ。


「それに。うちの制服って人気なんだよ、やっぱ」


綾乃は小首を傾げながらえんじ色のリボンタイをキュと握ってそう言った。


男の人ってやっぱり制服好きなのかぁ……。

今日の教訓『ケバい女子大生よりも制服姿の女子高生』 by綾乃

うん、メモメモ(←只今男心勉強中)。
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