ケータイ恋愛小説家
あたし達が制服着てるせいもあって、合コン場所は居酒屋とかはNGなので、無難なところでカラオケ屋だった。


ドアの向こうにはすでに男の子達が集まっているようだった。

うわああああ……緊張するよぉ。

ちゃんと喋ったりできるかなぁ……。


あ……ダメ……。

なんか帰りたくなってきた……。


あたしはくじけそうになる気持ちを奮い立たせるために、冷たくなった手を強く握り締めた。


そうよ!

かの家田荘子先生も、極道の家に住み込みで取材をして、“極道の妻たち”を書き上げたって言うじゃない!

まさに取材は体当たり、命がけなのよ!

これも小説のため!

あたしの執筆活動のためなの!


あたしは意を決すると、心臓の音が聞こえそうなぐらいドキドキしながら、みんなの後ろについて、一番最後に部屋に入った。
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