ケータイ恋愛小説家
「ねね? 日向って彼氏いないよね?」


何がうれしいのか、目をキラキラと輝かせている。


「悪いー? どうせ彼氏いない歴16年だよー」


あたしはプ-と頬を膨らませてふてくされたように言った。


「まぁまぁ。そんな日向に朗報」


「は?」


「うちの彼氏の友達がさ。日向に会いたいって、指名してきたの」


「え……えええええ! そ……それって……」


俗に言う……


「“紹介”ってやつ?」


「ま。そんなとこ」


春奈は人差し指をあたしの目の前に掲げて提案した。


「で。さっそくなんだけど。今日の放課後大丈夫?」


「ええっ……そんな急に言われてもぉ……」


あたしは何故か不安にかられて綾乃をチラリと盗み見た。

一方綾乃は、まるでこの件には関わりたくないとばかり、肩をすくませた。

その態度に、「自分で決めろ」そう言われているような気がした。


どうしよう……。

あたしは蓮君が好き。

今は正直、他の男の子がどうとか考えられない。


だけど……。

蓮君は美雨ちゃんが好きなんだ。


いくら想っても、この想いが届くことはないような気がする。

だったら、もうきっぱりと諦めちゃう方がいいのかな……。


うん。



「わかった」





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