ケータイ恋愛小説家
放課後……

あたしは春奈に、駅前のファーストフード店に連れてこられた。


2階フロアーの一番奥、窓際の席にいる男の子二人組に春奈は大きく手を振った。

あたしは初めてのことに緊張の色を隠す事ができず、ドキドキしながら俯き加減で席についた。


「この子、小菅日向」


春奈からの紹介に、慌てて顔を上げる。


「あっ……あの。日向……デス」


「日向ちゃん、よろしくー! オレ、洋介」


そう言って、眩しいくらいの白い歯を見せてニカッと微笑んだのは、春奈の前に座っている男の子。

今時こんな人いたんだぁ……って感じなんだけど。

あたしは失礼ながらも天然記念物の動物でも見るかのように、マジマジと彼を見つめてしまった。


まるで日サロで焼いたみたいに色が浅黒くて、髪には金色のメッシュが入ってる。

片耳だけシルバーピアスがじゃらじゃらと何個もついてて重そう……。

たしか北清水学園の生徒だって聞いてたけど……。

あそこって校則厳しくないのかなぁ……。


あたしはいつの間にか彼から目が離せなくなってしまった。


ま……まさか、この人をあたしに紹介しようっての?


あたしの不安は高まるばかり。


「日向―。何、固まっちゃってんの? ひょっとして、ヨウちゃんに惚れた?」
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