ケータイ恋愛小説家
ビルの前でしばらく二人は楽しそうに話していた。


「あれ……知り合い?」


いつまでも窓の外ばかり見ているあたしに気づいたハチが、あたしの視線の先を追った。


「うん。お姉ちゃん」


「マジ? すんげー美人じゃん」


「うん」


「彼氏も、かなりかっこいいし」


「彼氏……なのかな……。やっぱ」


あたしは誰に尋ねるでもなく、ポツリと呟いた。


「そうじゃねぇの? だって、ほらっ」



蓮君がビルの一階にあるショップのガラスのドアを開けた。

まるでエスコートするように、美雨ちゃんを先に中に入れる。

やがて二人の姿は見えなくなってしまった。


ブランドには疎いあたしでも知ってる。

そこは雑誌でもよく掲載されている女の子に今人気のアクセサリーショップ。

20代の女性デザイナーの作った作品は、個性的なんだけど、乙女心をくすぐるような可愛いアクセサリーばかりなのだ。


そっか。

美雨ちゃんの誕生日プレゼントか。

昨日、美雨ちゃんの誕生日を訊いてきたもんなぁ……。



全てに納得がいってしまう。
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