ケータイ恋愛小説家
あ……

あれ?

急に目の前の景色が滲む。

さっきから窓を伝う雨粒のせいかな……。


そう思った瞬間、両頬を伝う暖かいもの……。


「日向?」


ハチが驚いてあたしの顔を覗き込む。


「ごっ……ごめんね」


あたしは慌てて涙を拭った。

もぉ……。

最近、涙腺が緩みっぱなしだよぉ。


あたしは泣き顔を見られたことが恥ずかしくて、顔を上げることができなくなってしまった。


ハチは何も訊いてこない。

その沈黙が余計に苦しくて、あたしは「あはは」と意味もなく笑った。


「ほんとごめんね。なんだろね……あたし」




「好きだよ」



「えっ?」
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