ケータイ恋愛小説家
田中先生が好きだということ。

気づいたら好きになっていて、もう止めることができなくなっていたこと。

誰にも話せなくて、ずっと一人で抱えていたこと。



「綾乃……ごめんね」


気づいてあげられなくて……。

こんなに側にいたのに、綾乃の気持ちに気づかなかった自分のふがいなさが嫌になる。


「ううん」


綾乃は力なく首を振る。


「いいんだ。……誰にも言うつもりはなかったし。どうにかしようとも思わなかった。ずっと何もできなかったんだ」


綾乃はクスッと小さく笑った。


「さっきの子が自分に重なったんだ。まるであたしが振られているように見えた」


「綾乃ぉ……」


なぜか今度はあたしが泣きそうになった。




「ねぇ……。告白って何のためにするのかな?」
< 170 / 365 >

この作品をシェア

pagetop