ケータイ恋愛小説家
あたしはチラリと大輔君を盗み見た。


こっそり見つめたはずが、彼はあたしの視線に気付いて目を合わせる。

そして、最初に見たのと同じようなニコニコの笑顔を向けてくれた。


その瞬間

彼の背後がキラキラと輝きだし、頭の上で天使がラッパを吹いている図が浮かんだ。


これは、ひょっとして……噂にきく…

“恋”ってヤツじゃないの?


絶対そうだよ!

あたしは確信した。

大輔君はあたしの王子様なんだと。


「ん? どうした?」


真っ赤な顔で固まってしまったあたしの顔を不思議そうに覗き込む大輔君。

近っ。

その距離にますます心臓が跳ね上がる。


「と……トイレ行ってくる」


焦ったあたしは立ち上がって、部屋を出た。
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