ケータイ恋愛小説家
「謝ったほうが良いのかな……」


あたしはポツリと呟いた。


蓮君の最後の言葉が耳に絡みついて離れない。

だって、すごく寂しそうな声だったんだもん。


それとも、もう嫌われちゃったかな?


少なくとも呆れてるよね?


あんなに一生懸命やってた携帯小説をあっさり辞めて、協力してくれてた蓮君にはあんな言い方しちゃって。


ああ―――。

自己嫌悪だぁ。


あたしって、なんでいつも空回りしちゃうんだろう。


机につっぷしたまま顔を横に向けると、目じりに涙が溜まってきた。



「そういや日向。ハチとはあれからどうなった?」


あたしは慌てて涙を拭って顔を上げる。


「どうもなってないけど……連絡はくるよ」


ハチとはあれ以来会ってないけど、時々メールや電話がくる。

そして……。


「今日、会う約束してるし」


「そうなんだ。ハチって見た目どんな子?」


「うーん。可愛い系かなぁ。目がクリクリしてて、ちょい小柄で……」


「ふーん。髪形は?」


「明るめの茶髪で……トップがピョンピョン跳ねてんの」


「ぷっ……」


さっきから窓の外ばかり見ていた綾乃はなぜかそこで吹き出した。


「あんな感じに?」


そう言う綾乃が指差す先にいたのは……。
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