ケータイ恋愛小説家
「ぷっ……」




「笑うなよぉ……」


ハチはさらに真っ赤な顔してあたしを睨む。


「だって……」


そか。

ハチの本名は八兵衛か。

しかも本人は相当コンプレックスを持ってるようだ。


「あははははは」


あたしはお腹を抱えて笑った。


いつもハチのペースに呑まれていたあたしだけど……

形勢逆転!


ハチの弱点見つけた気分。



「ごめんごめん」


あたしは笑いすぎて涙の滲んだ目じりを手で拭った。


「でもあたし、その名前好きだよ。なんか可愛いもん」


あたしは小首を傾げてにっこり微笑むと、最上級の甘えた声で囁いた。


「ね? ハ・チ・ベ?」



するとハチは一瞬驚いたように目を丸くして、またさらに顔を真っ赤にした。


そしてそっぽを向いてボソッと呟く。


「むかつく……そういう顔すんなよな……」


「え? 何が?」


「なんでもないっ」


「ぷっ……」


拗ねるハチが可愛くて、あたしはまた吹き出した。

こんなに笑ったのは久しぶりじゃないかって思うぐらい楽しくて、どんどん笑いがこみ上げて止まらなくなってきた。



「だあああああああ。もぉ! お前、笑すぎだっつの!」


「ひゃぁあ」
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