ケータイ恋愛小説家
ボーダーライン
「はぁああああああ」


さっきからあたしはベッドに仰向けに寝転び、ため息ばっかついてる。

一枚のCDを掲げて。


「これ、どうしよっかなぁ……」


蓮君から借りっぱなしのヤマジシンイチのアルバムだ。

いい加減返さなきゃいけないんだけど……。



ガチャ

部屋のドアが開いて、美雨ちゃんがぴょこんと顔を覗かせた。


「日向? お風呂空いたよぉ?」


パジャマ姿にすっぴんでも文句なく可愛い。

我が姉ながら、ほんとに見惚れちゃう。


「あっ……うん」


あたしは慌ててCDを枕の下に隠して起き上がった。



「なになに~? 何隠した?」


いつもは天然でのんびり屋の美雨ちゃんなのに、こんな時に限って鋭かったりする。

近づいてきたかと思ったら、サッと枕の下に手を入れられた。


「あ! ヤマジシンイチだぁ」


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