ケータイ恋愛小説家
「ひな……」


そして何かを言いかけた蓮君の言葉を遮るように続けた。



「嫌いなわけないじゃん。大事な幼馴染なのにさ!」


敢えて“幼馴染”という言葉を強調して言った。

それがあたし達のボーダーラインだと思ったから。

あたしは蓮君の恋人の妹だから、それを越えちゃいけないんだ。

そしてそのラインを引くのがあたしの役割。




あたしは涙を拭って笑顔を作る。


「小説のことも……色々お世話になりっぱなしだったし、ほんとありがとうね。蓮君には感謝してる」


「ああ……」


蓮君が俯いてそう言うから、あたしにはその表情がよくわからなかった。




「あたし、もう学校行かなきゃ」


あたしは蓮君に背を向けて、急いで玄関に行って靴を履いた。



「じゃね……」



そしてもう二度と来る事はない、この部屋のドアを開けた。




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