ケータイ恋愛小説家
「ね。日向ちゃん、モデルになってもらえない？」


「えっ？」


突然の律子さんの言葉に驚いて顔を上げた。

両手の親指と人差し指で長方形を作り、カメラのファインダーのようにそこから覗いてあたしのことを見る律子さん。


「今度うちの近所でお祭りがあってね。浴衣姿の女の子を撮影したかったの。できれば高校生ぐらいの若い子がいいなぁって思ってて。日向ちゃんならイメージにぴったりなんだ」


「モデルなんて無理です！　無理無理！」


あたしは慌てて断った。

とてもじゃないけど、そんな自信ない。

モデルなんて特別可愛い子がするもんでしょ？


律子さんは両手を顔の前で合わせる。


「ね？　お願い」


そんな顔されると断りづらいけど……でも……。


「でも……あたしなんて」
「すと――――っぷ！」


律子さんがあたしの言葉を遮った。


その声があまりにも荒々しかったのであたしは肩をビクンと震わせた。
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