ケータイ恋愛小説家
あたしは慌ててそこらへんにあった衣類をかき集めて自分の体を隠そうとした。


だけど……時すでに遅し。



「これで良いのかなぁ?」


リビングのドアが開かれるとともに顔を出した人物を見た瞬間、あたしは床にペタンと座った状態で身動き一つ取れなかった。

人……って、こういう時って何もできないんだなぁ……なんてしみじみ思ったりして。


あたしと彼はしばらく目が点になったままお互いを見つめていた。


そして……


「き……きゃあああああ」


「うわああああ」


あたしは両手で胸を隠してとりあえず彼に背を向けた。

それが今、自分にできる唯一の行動だった。







「うっ……うっ……うっ…」


もう、最悪―――!

蓮君に……裸見られた。



もう、お嫁にゆけないっ。
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