ケータイ恋愛小説家
まさか蓮君も一緒だったなんて……。

聞いてたら絶対に断ってたのにぃ。



蓮君は撮影で何度か着たことがあるのか、鏡を見ながら慣れた手つきで浴衣の帯を結んでいく。


黒に近い濃紺の無地の浴衣にグレーの帯。

シャンと背筋が伸びた蓮君にとてもよく似合っている。


「ん? 何?」


鏡越しに目が合ったあたしに蓮君が小首を傾げる。


「……なんでもない」


あたしは顔を見られたくなくてそっぽを向いた。


ドキドキしてる……。


きっと顔も真っ赤になってるはず。


だって、悔しいぐらいにカッコイイんだもん。


女の子の浴衣姿が普段より可愛く見えるってよく言うけど、男の人の浴衣姿もヤバいよ……。

なんか色気があるっていうか……。


「じゃ。そろそろ行きますか」


律子さんのその声を合図にあたし達は部屋を出た。
< 224 / 365 >

この作品をシェア

pagetop