ケータイ恋愛小説家
蓮君の体がぐにゃりと倒れ掛かったかと思ったら、あたしの右肩には重いものがのしかかったのだ。


「れ……蓮君?」


「……ちょっとだけ……肩……かして……」


それだけ言うと、蓮君はそのまま目を閉じた。

そして聞こえてくるのはスースーという寝息のみ。


う、うそでしょ―――?


「ね……寝ちゃったの?」


蓮君の鼻先をツンツンと突付いてみる。

ピクリともしない……。


蓮君の香水の香りと、肩にずしりとかかった重さが、あたしの右肩を熱くさせる。

心臓はさっきからトクトクと煩い。


あたしは蓮君の寝顔をマジマジと見つめた。


キリリとした弓なりの眉毛に、女の子みたいに長い睫毛……そしてキレイな形の唇はほんの少し開いている。


――なんか可愛いな……。


あたしはゴクリと唾を飲み込むと、震える手をそっと伸ばして、蓮君の髪に触れた。

そして頭をナデナデ……。


――キュン


あ……やばい。


こんな無防備な寝顔見せられちゃったら……


「襲っちゃうぞ……」



――なんて、独り言のつもりだったのに。




「誰を襲うって?」



今の今まで寝ていたはずの蓮君がむっくりと顔を上げた。


きゃあああああああ。
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