ケータイ恋愛小説家
「あのさ」


「うん?」


「オレ……なんかヘンなこと口走ってなかった?」


「え……」


途端に昨夜の蓮君のセリフがあたしの頭を巡る。

蓮君があまりにも真っ赤な顔しているので、あたしまで伝染してきちゃう。


「あっ……あたしの裸見て焦った……とかなんとか……言ってたけど……」


「マジかよ……」


蓮君は俯いて頭を抱えた。


そして「やっぱり……夢じゃなかったか……」とかブツブツ呟いていた。


そしておもむろに顔をあげて、あたしの方を向いた。


「日向……オレさ」


「ん?」


あたしは小首を傾げて蓮君の次の言葉を待つ。


「……」


なぜかお互いに沈黙のまま見つめあっていた。


蓮君は口を開けたり閉じたりパクパクすること数秒。


そしてあたかも今まで呼吸を止めていたかのように、「ぶはっ」と大きく息を吐き出した。


「ちょっと待って……オレ、かなりヤバいかも」


また目をそらしたかと思うと、うなだれて「ヤバい……余裕なさすぎ……」なんてブツブツ呟いている。


いったいどうしたんだろう?


なんだかいつもの蓮君らしくないような気がする。

そして、やっと顔を上げてじっとあたしの目を覗き込むと、スーと息を吐き出した。



「いい加減……ここらではっきりさせよう」


「……?」


「あのさ、オレ……」

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