ケータイ恋愛小説家
「ヒナちゃんが何悩んでんのか知らないけど……。やらない後悔よりは、やってみて後悔する方が、納得できるんじゃねぇかな。なんか使い古した言い回しだけど……オレが言えるのはそれぐらいだよ」


大輔君の言うとおりだ。

このまま何もしなければ、あたしはきっと後悔する。

そして伝えられなかったこの想いはいつまでも宙ぶらりんのまま彷徨うばかりなのだろう。


「うん……そうだね」


歩道に映った自分の長い影をぼんやり眺めながら

蝉の声に掻き消されそうなほどの弱々しい声で……


あたしはポツリと呟いた。



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