ケータイ恋愛小説家
花言葉
その日の夜。

あたしはパソコンを起動させた。

昼間に書き込んだ内容を読んで、読者はどんな反応をしているのか……それが気になったからだ。


本当は高校生だということ。

それから恋愛経験が全くないという事……。

そんな事実を知っても、みんなはあたしの小説を読みたいって思ってくれるのかな?


高鳴る鼓動を抑えつつ、掲示板を開く。


その瞬間、また胸にこみ上げてくるものがあった。


――あたしは幸せ者だ。


みんなから寄せられた、たくさんのメッセージ。


そこには、あたしが高校生であることを受け入れてくれ、あたしの小説が好きだからどんな形であっても読みたい……

そして、あたしの恋を応援する――というような内容の書き込みがいくつも並んでいた。


「……ありがとう」


……って、そんな言葉しか浮かばなかった。

自分勝手なことばかりしていたあたしなのに。

読者はそんなあたしをまるごと……受け入れてくれている。



あたしは画面をスクロールさせて、全ての書き込みに目を通した。

そして、あるコメントでその手が止まる。


それは久しぶりに見るあの人からの……

長い長い……メッセージだった。




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