ケータイ恋愛小説家
幸樹さんて……なんていうか……直球だぁ。
あたしは耳まで真っ赤になる。
「違いますって! そんなの全然ないですから!」
そしてなんとか誤魔化そうと話題を幸樹さんに振った。
「幸樹さんこそ……例の片想いの人とはどうなったんですか?」
「ん? ああ……」
幸樹さんはライターで口に咥えていたタバコに火をつける。
そして白い煙を吐き出すと、ふわりと微笑んだ。
「上手くいったよ」
「ほっ……ほんとですか? うわああああ、良かったですね」
本当に心の底からうれしかった。
昨日、綾乃や大輔君の失恋の話を聞いたばかりだったから余計に。
「今日もデートなの。ここで待ち合わせ……あ、ほらっ、来た」
幸樹さんの視線の先を追う。
そこにはあたし達のいるベンチに向かって駆け寄ってくる女性がいた。
その人を見た瞬間……
あたしは驚きのあまりベンチから立ち上がった。