ケータイ恋愛小説家
そう思った時。


ガチャ!

勢いよくドアが開いたと思ったら


「大輔―?」


そう言って、誰かがひょいと顔を覗かせた。


一瞬、その人とあたしの目が合った。


「あ……わりっ」


そう言って、ドアはパタンと閉められる。



1秒……


2秒……



3秒……



ガチャ


もう一度ドアが開かれる。


玄関先には、一人の男の子。


まるで雑誌から抜け出たようなスラリとしたモデルのような体形。

真っ黒の髪は緩いウェーブを作り、毛束は無造作に散らされている。

長めの前髪の奥には、子犬のような丸い瞳。


あたしはその瞳を知っている。


ベッドの上で身動きできないでいるあたしを見つめながら彼がゆっくりと口を開いた。




「ひ…なた……?」


とたんに、ブワっと景色がゆがんだ。

聞き覚えのあるその低い声にホッとしたのか、体中の力が抜け、あたしの目からはポロポロと涙がこぼれる。



「レンく――――ん!……ヒィック…」


あたしはしゃくりあげながら、彼の名前を呼んだ。
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