ケータイ恋愛小説家
「日向の気持ち、ちゃんと言ってやれよ」


「ハチぃ……」


あたしはまたグズグズと泣き出した。


「早く行けって。でないとまた襲うよ?」


ウソばっかり。

そんな言い方してもあたしにはもうちゃんとわかってるんだから。

ハチは最初からあたしをどうこうするつもりなんてなかったんだ。

この部屋に来たのは、あたしにこのチケットを渡すためだったんでしょ?



「ハチ……。ありがとう。ごめんなさっ……」


「謝んなっつの! 余計傷つくって言っただろ!」


生まれて初めて告白してくれた男の子は……

そう言ってにっこり微笑んだ。


ハチ……。

あたしはその笑顔を一生忘れないと思う。


蓮君がいなかったらあたしはハチを好きになってたかな?

わかんない。

だけど一つだけわかること。

ハチのこの笑顔にあたしは何度も癒されたよ。


「ありがとう……」


あたしはもう一度ハチにお礼を言って立ち上がった。


蓮君がくれたチケットを握り締めて……。



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