ケータイ恋愛小説家
大切な人

あたしの足は蓮君のマンションに向かっていた。


その途中、歩道橋を渡っている時に、あたしの足が止まった。


下の歩道を歩く蓮君の姿を見つけたからだ。


――うそ……すごい偶然。


あたしはまた走り出した。


歩道橋の階段を勢いつけて駆け下りる。


――蓮君、待って……。



はぁはぁ……


息が上がる。

アスファルトの照り返しで、視界がゆらめく。


歩道に降りたあたしの視線からは、行き交う人ごみにまぎれて蓮君の姿が見えなくなってしまった。


やだっ。

蓮君……どこにいるの?


あたしはキョロキョロと周りを見渡しながら人ごみを掻き分けて進む。



――いた。

数メートル先の横断歩道。
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