ケータイ恋愛小説家
信じられない光景だと思った。


あたしの視線の先にあったのは……


横断歩道から数メートル離れたところで横たわっている蓮君の体。


あたしをかばって蓮君が車に撥ねられたのだということは容易に想像できた。


蓮君はきっとあたしを突き飛ばして自分が……。


「おい……大丈夫か!」


「救急車! 救急車!」


いつの間にか集まってきていた人達が口々に叫ぶ。


あたしは這うようにして、蓮君の側に寄った。


蓮君はピクリとも動かない。

そして蓮君の体の下に広がる赤い…赤い液体。



「や……やだ……」


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