ケータイ恋愛小説家
「蓮君……」


あたしは蓮君のガウンの脇の下あたりをキュッと握った。


「知ってた? オレ、ここんとこずっと心臓痛いの」


「へ? 心臓……? 蓮君、体悪いの?」


蓮君ははぁ……と深いため息を吐いた。


「なんで、わかんねぇかなぁ……」とブツブツ呟いている。


そして「顔、ちゃんと見せて」

そう言って、あたしの頬を両手で包んで自分の方へ向けた。


じっと覗き込む蓮君の瞳にあたしの影が映る。

あまりにも至近距離で見られて、あたしの顔はだんだん熱を帯びる。


「れ……蓮君、あの……」


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