ケータイ恋愛小説家

と、その時。


「ただいまー!」


玄関から能天気な声が響いた。



あたしと蓮君は一瞬顔を見合わせてから、慌てて体を離した。


――ギリギリセーフ。


まさにそんなタイミングでリビングに美雨ちゃんが入ってきた。


蓮君は頭を抱え込んで「オレ……もうヤダ……」ってブツブツ呟いている。


「ぷっ」


そんな蓮君の様子が可愛くて思わず吹き出してしまった。


蓮君は「わ・ら・う・な」と口をパクパクさせてあたしをじろりと睨んだ。



「蓮君! いらっしゃい!」


美雨ちゃんは満面の笑みを蓮君に向けた。

美雨ちゃんには蓮君と付き合い始めたことは既に報告済みだ。

実は蓮君が美雨ちゃんに時々電話をしていたのは、あたしのことを相談していたらしい。

陰ながらあたし達を応援してくれていた美雨ちゃんは、あたし達がつきあうようになったことを自分のことのように喜んでくれた。
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