ケータイ恋愛小説家
「そだ。誕生日もうすぐじゃん。プレゼント何がいい?」


ひとしきり笑った後、蓮君があたしに尋ねる。


「えっ……。プレゼントなんていいよぉ。もうもらったもん」


あたしは首にかかったネックスレスを揺らして見せた。

実はあの日、蓮君が美雨ちゃんとアクセサリーショップに入っていったのは、このネックレスを買うためだったらしい。

蓮君はあたしの趣味がわからなかったから美雨ちゃんの意見が聞きたかったんだって。

ちなみに、これは期末テストのご褒美のつもりだったらしい。


あたしが何気なく言った「ご褒美ちょうだい」って言葉をちゃんと覚えてくれて用意しておいてくれたんだ。

あの時は「なんでそんなことでご褒美やんなきゃいけないんだ……」なんて文句言ってたくせに。

テスト最終日にあたしを校門前で待っていたのは、ヤマジシンイチのライブのチケットと一緒にこれを渡すつもりだったんだって。

ほんと素直じゃないんだから。

あ……。

それはお互い様か。





「それは、テストのご褒美だろ。それと誕生日は別」


どうやら蓮君の意思は固いようだ。


あたしはプレゼントを何にするか考え始めた。


ん――どうしようかなぁ。


あ……。

そだっ。



あたしはひらめきましたって感じのキラキラの目を蓮君に向けた。


「決まった?」


「うんっ」


そして唇を蓮君の耳に寄せて囁いた。



「あのね……」





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