ケータイ恋愛小説家
ずっと自信がなかったの。


明るい向日葵の黄色はあたしには不釣合いな気がしてた。


だけどあなたが教えてくれた。



誰かを愛する事、愛されること。


そしてあなたに愛された自分自身を好きになること。


あたし、もう大丈夫だよ。

ありのままのあたしをあなたが受け止めてくれたから。


向日葵が大好き。


この名前も大好き。


胸張ってそう言えるよ。



――『あなただけを見つめている』


向日葵の花言葉のように、あたしはずっとあなたを見つめて咲き続けるの。


だからその目を逸らさないでね。



あたしは彼のもとへ駆け出した。


人ごみを掻き分け、大好きな彼のもとへ。


手を伸ばして――もうすぐ彼に触れられる……そう思った瞬間。


「きゃ……」


何かにつまずいてあたしの体が傾く。


それはまるで恋愛小説のワンシーンみたいだった。


スクランブル交差点の真ん中で、彼はあたしを抱きとめて耳元で囁いた。




「好きだよ」



そして、大きな向日葵の花束を目隠しにするように、その陰でそっとあたしに口づけた。







それはそれは



甘くてとろけちゃいそうな




恋物語の……





ハッピーエンド。




【完】


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