ケータイ恋愛小説家
「小菅ぁあああああ!」
「ハイ!」
先生の我慢の糸がプッツンと切れた音が聞こえた気がした。
あたしは、頭の中に浮かんだ妄想を急いでかき消して、姿勢を正す。
先生はあたしを射抜くような目で見つめる。
もうその距離は、吐息が感じられるほど近づいていた。
ど……どうしよっ。
キーンコーン……
その瞬間、教室内の緊張を解くような、能天気なチャイムの音が鳴り響いた。
ほっと胸をなでおろす。
先生はフーっと大きなため息をもらすと、
「次の授業、このページは全部お前に解いてもらうからな」
ニヤリと笑ってそう言うと教科書でカツンとあたしの頭を軽く叩いた。
「ハイ! じゃ、今日の授業はこれまで!」
先生の後ろ姿を見送って、力が抜けたあたしは、ストンとイスに落ちるように腰掛けた。
「もー! なにやってんのぉ?」
クスクス笑いながら、あたしの前の席の綾乃が振り返る。
武田綾乃(タケダアヤノ)。
あたしの親友。
茶髪の巻き髪にメイクもバッチリ。
絵に描いたような、いまどきの女子高生。
「べべべべべっべっつにぃ……」
なんて答えたらいいかわからず、いかにも怪しい返しをするあたし。
「日向ぁ…。また妄想トリップでもしてたんでショ?」
「なっ……なにいって……」
当たってる。
当たってるだけに、余計に動揺しちゃう。
綾乃の言うとおりだ。
あたしは授業中だというのに、得意の妄想の世界に浸っていたってわけ。
図星をつかれて真っ赤な顔になりながらも、必死で動揺を隠そうと、とりあえず鞄を取り出し、手当たり次第に教科書やノートをそこにしまい込む。
さっきの授業は6時間目だったから、今日はこれでおしまいなのだ。
「ねぇ。今日帰りカラオケいかない?」
綾乃が上目遣いでそう訊いてきた。
「んー」
一応、考えるふりしたけど、あたしの心は決まっている。
「ハイ!」
先生の我慢の糸がプッツンと切れた音が聞こえた気がした。
あたしは、頭の中に浮かんだ妄想を急いでかき消して、姿勢を正す。
先生はあたしを射抜くような目で見つめる。
もうその距離は、吐息が感じられるほど近づいていた。
ど……どうしよっ。
キーンコーン……
その瞬間、教室内の緊張を解くような、能天気なチャイムの音が鳴り響いた。
ほっと胸をなでおろす。
先生はフーっと大きなため息をもらすと、
「次の授業、このページは全部お前に解いてもらうからな」
ニヤリと笑ってそう言うと教科書でカツンとあたしの頭を軽く叩いた。
「ハイ! じゃ、今日の授業はこれまで!」
先生の後ろ姿を見送って、力が抜けたあたしは、ストンとイスに落ちるように腰掛けた。
「もー! なにやってんのぉ?」
クスクス笑いながら、あたしの前の席の綾乃が振り返る。
武田綾乃(タケダアヤノ)。
あたしの親友。
茶髪の巻き髪にメイクもバッチリ。
絵に描いたような、いまどきの女子高生。
「べべべべべっべっつにぃ……」
なんて答えたらいいかわからず、いかにも怪しい返しをするあたし。
「日向ぁ…。また妄想トリップでもしてたんでショ?」
「なっ……なにいって……」
当たってる。
当たってるだけに、余計に動揺しちゃう。
綾乃の言うとおりだ。
あたしは授業中だというのに、得意の妄想の世界に浸っていたってわけ。
図星をつかれて真っ赤な顔になりながらも、必死で動揺を隠そうと、とりあえず鞄を取り出し、手当たり次第に教科書やノートをそこにしまい込む。
さっきの授業は6時間目だったから、今日はこれでおしまいなのだ。
「ねぇ。今日帰りカラオケいかない?」
綾乃が上目遣いでそう訊いてきた。
「んー」
一応、考えるふりしたけど、あたしの心は決まっている。