ケータイ恋愛小説家
「やべっ! 日向ごめん! オレもうそろそろバイトの時間だ」


「あ、うん」


あたし達は慌てて席を立った。


蓮君は立ち上がると同時に、テーブルの上の伝票をサッと手に取った。

そして、そのままスタスタとレジへ向かう。


あ……あれ?

あたしの奢りじゃなかったっけ?



「ほれっ、いくぞ」


会計を済ませた蓮君は、あたしの肩を押して店の外に出るよう促す。


「え? あたしの奢りなんじゃないの?」


「バカ。オレ、そこまでオニじゃねーよ。高校生に払わせられっか」


そう言って、店を出て歩きだした。


背の高い蓮君の後姿を眺めながら思った。


なんだかんだ言って優しいんだよね、蓮君。

今日だって、バイトがあるのに、ちょっとの時間みつけて会ってくれた。

ぶっきらぼうで、ちょっと言葉が足りない時もあるけど……ほんとはちゃんと考えてくれてる。

昔からそうだったよね。


「ま……待ってよー!」


あたしも走って蓮君の後を追いかけた。

つもりが……


「っと! きゃぁああ」
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