ケータイ恋愛小説家

目の前で蓮君が急に立ち止まったせいで、あたしの鼻と蓮君の背中がぶつかった。


「いたぁ……」


そう言って鼻を押さえているあたしを振り返り、小首を傾げた蓮君が言う。


「で。何からお勉強する？」


「へ？　お勉強……？」


「そう。お前、男心知りたいんだろ？　何から知りたいのかなって思って」


うん……

えーとね……

いやまてよ。

何か、あたしの心にひっかかってるものがある。


お勉強……

勉強……


勉強……



うっ……



「あああああああああ！」


思い出したあたしは道路の真ん中で大声で叫んでいた。


「ど……どうしよ！どうしよ！」


「な……なんだよ？」


蓮君は周りの人にジロジロ見られているあたしに迷惑そうな視線を送る。


「蓮君……。あたしね……。今一番教えてほしいことはね……」


「お……おう」


蓮君はあたしの態度にたじろいでいるようだ。



「……数学、教えてください」




「へ？」