ケータイ恋愛小説家
か……軽いキスううううー?


そ……そうか。

そこまで考えてなかった。


「じゃ……お…重いキスならどうなの?」


「重いキス?」


なぜか蓮君はくっくっと肩を震わせて笑ってる。

あれ?

ヘンなこと言ったかな?


んー。

つまりディープキスってことだよねぇ……。

あたしの思い描くディープキスと言えば……

ベッドに押し倒して……とか壁に体を押し当てて……とか?

とにかく女の子の背後には支えがないとできないような感じなんだよなぁ……。

んで、かなり強引に奪う! みたいな?

うーん……。


あ!


そうだ!


「首は? 男の子が首に腕を回して、彼女を引き寄せるの! それから彼女の顎を指でつまんで顔を上げさせて深くキスする! みたいな……」

「んー……」


蓮君は一瞬天井を仰いで少し考えてから質問してきた。


「二人はどういう関係? 男の方は女慣れしてんの?」


蓮君のそんなセリフに、なんかちょっと感動してしまう。

……ちゃんと真剣に考えてくれてるんだなぁ……。


「え……えーとね」


あたしは小説の内容を説明した。

二人は付き合ってないけど、両想いであること。

そのキスが二人にとって初めてのキスであること。

男の子の方はキスに慣れてるけど、女の子はそうでもないこと。


「その状況だったら、いきなり激しいのはしねーな」


蓮君はじっとあたしを見つめる。

そして…

「オレだったら……」
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