ケータイ恋愛小説家
そうだ!

あたしは足取りも軽く隣の部屋へ行く。


コンコンッ

ドアをノック。


「美雨ちゃ――ん!」


あれ?

反応なし?

いないのかなぁ……。

あたしはそっとドアを開けた。

美雨ちゃんは出かけているのか、部屋には誰もいなかった。


「おじゃましまーす」


なんて言いながら部屋に入って、美雨ちゃんのクローゼットを勝手に開けてみる。

さすが美雨ちゃん。

小説のヒロインのイメージにぴったりの大人っぽい洋服がいっぱい並んでいる。


「きゃー。どれにしよっかなぁ」


ハンガーに掛けられて、ずらりと並んだ洋服を確認していく。

そしてその中の一着を取り出した。


「きゃー! ジルスチュアートのワンピだああああ!」


うわー。

いいなぁ。

美雨ちゃん、こんなの持ってんだぁ。

あたしは誰もいない部屋でキョロキョロと周囲を見渡す。

そして……

「お借りしまーす」

小声でそう呟くと、ジルスチュアートのワンピースを抱えて自分の部屋に戻った。
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