ケータイ恋愛小説家
ベージュの膝上10センチぐらいのミニのワンピース。

裾はほんのりフレアになって広がっていてガーリーな印象なんだけど、レースで縁取られたスクエアの襟元はかなり大きく開いていて、ちょいセクシー。

こんな大人っぽいワンピースを着るのは初めてで、ちょっとドキドキしちゃう。

鏡の前でくるりと回ってみる。

蓮君、どう思うかなぁ……。

ちょっとぐらい、可愛いって思ってくれるかなぁ……。


って、何考えてるんだよ!あたし!

べべべべつに、蓮君のために服を選んだわけじゃないんだからね!



気がつくと、約束の時間に遅れそうになってた。

きゃー、急がなきゃ。


そのままだと、胸元が開きすぎてて気になるし、今日はもう6月に入ったというのに、梅雨が近いせいか肌寒い。

あたしはワンピースの上から五分袖のシンプルな黒のボレロカーディガンを羽織った。


そしてバッグを手に持ち階段を駆け下りる。


ところが、玄関でまた足が止まった。


ど…どうしよ。

この服に合う靴もないよ……。


えーい!

あたしは靴箱の中から、美雨ちゃんのパンプスを取り出した。

8センチはヒールのありそうな、黒いパンプス。

履いてみると……。

うっ。

足が痛い。

あたしだって、少しぐらいヒールのあるミュールなんかはたまに履くけど……。

こんなにヒールが高いのは初めて。

あーあ。

こんなことなら、練習しとけばよかったなぁ。

あたしはおぼつかない足取りで、外に飛び出した。
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