ケータイ恋愛小説家
「で? どこ行きたいの?」


一歩先を歩く蓮君は振り返ってあたしに尋ねる。


そう言われても……。

デートなんてしたことないあたしにわかるわけもなく。


「そうだなぁ。デートの定番って言えば、やっぱ映画?」


なんて、まるでマニュアル通りのデートしか思い浮かばないあたしの答えに蓮君は眉をひそめる。


「それって、どういう設定? そいつらは、付き合い長いの?」


ああ……そっか。

デート内容も二人の付き合いによって変わるか。


「えーとね。初めてのデート…っていうか、まだ付き合ってない感じ。これからの二人なの」


「ふーん」


蓮君はしばらく考える。


「それなら、オレは映画なんて見ないな」


「え? なんで? 映画って誘いやすいし、時間も持て余さなくて良くない?」


「んなの逆に時間が勿体ねーよ。2,3時間会話もなく潰れてしまうなんてさ。 オレだったら、その間その子と一緒に過ごす方がいいよ」


ふーん。

そういうもんかぁ……。


「じゃさ。どうやって過ごすの?」


そう尋ねたあたしに

「はい。とりあえずこれじゃねーの?」
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