ケータイ恋愛小説家
「お前のパンツなんか見ねーよ」


そう言うと蓮君はプイッとあたしに背を向けてキッチンへと向かった。


ははっ。

だよね。

それにしても、あそこまで否定されると、それはそれで寂しいな。

――なんて。



「これ……作ってくれたの?」


蓮君はキッチンでお鍋の蓋を開けて中を覗き込んでいる。


あたしも蓮君の隣に駆け寄った。


「フリージングパックも買ってきたから。余ったら小分けにして冷凍してね」


「ああ……うん。サンキュ」


蓮君はあたしの顔を見ず、意味もなくただ鍋の中のカレーを混ぜている。


あれ?

なんかリアクション薄くない?

ひょっとして……迷惑だったのかな。


あたしは心配になって俯いている蓮君の顔を覗き込んだ。


一瞬目が合ったものの、あたしの視線に気付くとまた目を逸らしてしまう蓮君。


気のせいか顔が赤い気がする……。

ひょっとして熱でもあるのかな?

そう思ったあたしは蓮君のおでこにそっと手を伸ばした。

だけど、そのことに気づいた蓮君が体を仰け反らせて避けたため、空振りに終わってしまった。


「ちょっ……触んなって」



なっ……なんで?

あたし……嫌われたの?
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