ラブレター
先生はあたしの通ってる大学の近くにある高校でスクールカウンセラーの仕事と近くの病院で臨床心理士の仕事をしている。
あたしのアパートに行くのに高校の前も病院の前も通るのに当たり前だけど先生に会えたことはない。
「やっぱ会えへんなぁ」
帰り道に病院を見上げながら歩いていると奈々が隣で残念そうな顔をして呟く。
「うん、今日は講師の仕事だけなのかな?」
「そうかもなぁ」
今日は会えたからいいんだけどやっぱりここを通ると期待しちゃう。
「ゆづちゃん今日オシャレしてるから会えたらえぇのになぁ」
「ふふ 奈々ありがとう。でもいいの。見てるだけの恋になることなんかわかりきってたしさ」
「先生やもんなぁ‥マンガみたいにうまくいかんよな」
ふたりでため息を溢して無意識に緩めていた歩く速度を元に戻す。
カツカツ鳴る今日のために買ったヒールの高いパンプスもなんだか虚しく感じる。
同じアパートに住んでる奈々に手を振って部屋に帰るなりベッドにダイブする。