『叶えたいこと』
「ともかくだな、友達、俺じゃだめか?」
真剣な眼差し。ちょっと、ひろきの笑顔を思い出す。
そうだ、あたしがショック受けてちゃ、せっかく天国に行ったひろきも浮かばれない。
ひろきがあたしに与えてくれたチャンスなんだ。
ひろきの夢だ。元気にならなきゃ。
「武田君、ありがとう」
「え?あ、それじゃ、友達いいのか?」
「うん。こちらこそ、よろしくね」
床に座り込んだままのあたしたちは、何度も何度も握手した。
武田君は、嬉しくてしょうがないって感じで何度もあたしの手を握り締めた。
「さっきのひろきってやつも、俺に頼むって言ってたしな」
満足そうに、武田君が空を見上げる。
「そうだね、きっと今、喜んでるよ」
夕日が落ちた空に、星がまたたき始めた。
星の揺らめきと共に、ひろきが笑っている。
そんな気がした…―
おわり