『叶えたいこと』

屋上の、君。2

 「やあっ!」
 「あ、今日もいた」

 お昼間の屋上。昨日の男の子が笑顔でいた。

 「あれ、ご飯は?」

 あたしがお弁当箱を広げていると、彼は横でそれを眺めていた。

 「あ、も、もう、食べちゃった」
 「早いわね」
 「うん、お腹減っちゃって」
 「んー…あ、じゃあ、これいる?」

 卵焼きを差し出す。

 「あ、いいや、お腹一杯だし」

 ちょっと残念そうな顔。遠慮することないのに。
 
 「そういえば今日は、なんか元気そうだね」
 「そう?」
 「うん。昨日よりすがすがしそうだ」
 「そうかなあ。あ、さっきクラスの女子に文句言ってやったのよ」

 お弁当を食べながら、ちょっと得意げに言う。
 「文句?」と彼は不思議そうな顔だ。
< 6 / 17 >

この作品をシェア

pagetop